SDGsはグローバルな社会・環境課題を解決することで持続可能な社会を実現し、人々のQuality of Lifeの向上をめざすものです。日立がこれまで推進してきた社会イノベーション事業は、まさにSDGsの達成に貢献するものであり、日立の持続的成長の源泉であると考えています。
このため、日立は社会イノベーション事業における革新的なソリューションや製品の提供を通じて、新たな社会・環境・経済価値を創出することを経営戦略に据えるとともに、日立の事業が社会・環境にもたらすネガティブインパクトを低減し、社会・環境の変化による事業へのリスクを把握し、それに対する強靭性の向上に努めます。
日立は、執行役社長兼CEO 東原敏昭を議長とする「サステナビリティ戦略会議」において、SDGsの17目標とそれぞれにかかわる事業が及ぼすリスクと機会について検討しました。その後、日立が主要な事業を通じてSDGsの達成に特に大きく貢献できる目標を5つ、企業活動全体を通じて貢献する目標として6つ特定しました。後者の企業活動全体で貢献すべき6つの目標は日立のすべての事業・経営戦略に関係しており、企業としてのサステナビリティに影響を与えるものであると考えます。
しかしながら、多岐にわたる事業分野をもつ日立は、上記に特定した11の目標以外にも、SDGsの達成に幅広く貢献できると考えています。また、日立はSDGsのそれぞれの目標は相互にかかわっていると理解しており、SDGsの17の目標すべての達成に向けて、直接的、間接的に貢献していきます。
SDGsが示す持続可能な社会の実現は、日立の持続的成長にもつながります。日立は直接的なお客さまである企業や消費者だけでなく、広くその先にある社会に対しても価値を提供していると考えています。それが、社会イノベーション事業の本質であり、日立が提供する製品もサービスもすべて社会のサステナビリティと密接にかかわっています。日立は、SDGs達成への取り組みを通じて、サステナビリティのリーダー企業となることをめざしています。
2019年度は、「2021中期経営計画」で掲げた目標の中でもSDGsとかかわりの深い社会価値・環境価値の創出をお客さまや社会により具体的に訴求できるよう、事業による社会・環境インパクトを評価する仕組みづくりの検討を始めました。「2021中期経営計画」で示された主要事業を例に、日立全体で活用できる社会価値・環境価値のインパクトを評価するメソドロジーを開発し、インパクト評価の仕組みの確立を進めています。このメソドロジー構築にあたっては、日立グループのコーポレート部門からワーキンググループを組織し、議論を積み重ね、方針を決定しました。さらにインパクト評価に先進的に取り組んでいる欧州などのステークホルダーと意見交換を行いつつ、各BU、グループ会社とも議論を重ねて、ガイドラインを作成しました。
各BUは、事業の社会価値・環境価値のインパクトについて、このガイドラインをベースに評価を進め、2020年度の事業計画を検討しました。今後、新規事業の検討、既存事業のインパクト評価にも適用できるように、改訂を進める予定です。
このメソドロジーを用いて日立の事業がもたらす正と負の社会・環境インパクトを把握し、よりサステナブルな事業をお客さまに提案することを通じて、「2021中期経営計画」で示した3つの価値を具現化していきます。
日立は、2019年度に「2021 中期経営計画」が示す社会価値・環境価値・経済価値を具現化するため、各BU、主要グループ会社に対して、社会・環境インパクトの見える化を推進しました。
具体的には、各BUおよびグループ会社における主要事業を選択した上で、あらかじめ用意した「社会・環境インパクトの項目一覧」から関連する項目を選択し、ポジティブおよびネガティブのインパクトの整理を行いました。さらに特定したインパクトに関連するステークホルダーを特定し、ロジックモデルにまとめました。
これにより、日立もしくはお客さまがどのようなインパクトを社会に与えているのかを見える化し、ポジティブなインパクトを伸ばし、ネガティブなインパクトを最小化する活動を進めることが可能になります。
2020年度は、このロジックモデルで見える化したインパクトの定性・定量の評価の適用を拡大し、社会価値・環境価値の具現化を進めていきます。